衆院郵政民営化特別委員会で参考人質疑
 6月16日、衆院郵政民営化特別委員会で、郵政民営化6法案に対する参考人質疑を行ないました。
投資社会づくりと郵政民営化との関係について
 石井啓一は、「田中参考人の郵政民営化の必要性に関する著述の中で、『投資社会たらざるを得ない高齢化社会に備えるために必要。』とのコメントがあります。そこで、高齢化社会がなぜ投資社会にならざるを得ないのか、そして郵政民営化とはどういう関係性があるのか。」と説明を求めました。
 田中直毅・21世紀研究所理事長は、「今日では働き終えた後、20年あるいは20年以上あるという時代になりました。このことは、我々が勤労時代に積み立てておいた年金の基金が順調にふえなければ、我々の老後を保障することはできないということであります。そういう意味では、勤労者がすべからく投資家になるという時代になったのが現在の高齢化社会だと思います。これまではたまたま、郵貯、簡保に政府保証がつき、そして、その分野にお金が流れました。このことが結果として、投資社会の条件づくりには不利だった。政府保証をつけた特定の流し口としての郵貯、簡保の役割は変化せざるを得ない、変化することが21世紀の投資社会づくりにふさわしいことではないかと感じております。」と見解を示しました。
「官から民へ」お金が流れる可能性について
 石井啓一は、「田尻参考人のご意見の中で、官から民へお金は流れないという説明がありましたが、私の理解では、郵政公社では、政府保証がついておりますので、どうしても安全資産への運用という形にせざるを得ない、必然的に国債、地方債中心にならざるを得ない。これが民営化をいたしますと、持っている資産のうち一部分はリスク信用供与という形で民間部門にも流れていく。資産運用という面では、民営化に伴って一部分、民間にお金は流れると思いますが、この点はいかがか。」と見解を求めました。
 田尻嗣夫・東京国際大学経済学部長は、「ご議論を聞いておりますと、リスクマネーが足りないので、郵貯、簡保の中に入っている国民をたたき出せ、追い出せという追い出しの論理でございます。政府が考えるべきことは、リスク資産を少しはとってみようかという気持ちが動き始めているときに、これをうまく育てて、どう誘導していくかということをお考えになるべき。日本の家計資産全体を平均的な姿で見てみますと、金融資産で持っておりますものは家計資産全体のわずか4分の1で、4分の3は土地、住宅、マイホームローンづくりのために土の中に塩漬けになっている。この豊なアセットを生命を全ういたしますまでの間にどう流動化し、現金化していけるのかという証券化市場の育成でございます。官から民へお金が流れない根もとは、お金の出し手がリスクをとれない状況を変えていただくということが問題。」と見解を示しました。
完全民営化について
 石井啓一は、「株式持ち合いによる一体性の維持は、国の関与が残ることにより民業圧迫の懸念があるとの北城参考人の意見ですが、完全民営化を維持するということと一体的経営を進めるべきだという声とのぎりぎりの調整、と私は思っておりますがこの点はどうか。また、将来的に郵便事業会社も完全民営化すべきというご意見ですが、郵便についてはユニバーサル義務が将来ともかかる。やはり政府が保有する特殊会社とせざるを得ないと思いますが。」と見解を求めました。
 北城恪太郎・(社)経済同友会代表幹事は、「私どもが懸念しておりますのは、持ち株会社あるいは郵便ネットワーク会社、窓口会社が郵貯とか簡保の株を買うというのは、政府の関与が残る銀行ができる、あるいは生保ができるということになりますので、そうした会社が非常に大きく、なおかついろいろな商品を持って事業を展開しますと、菅による民業圧迫という議論が出てくる。また、3分の1の国の保有のもとで郵便事業会社あるいは窓口ネットワーク会社が順調に経営できるということが確認された後では、ユニバーサルサービスが確保できればいいということであって、そういった会社は必ずしも国の関与がなくてもユニバーサルサービスができるのではないか。」と見解を示しました。
郵貯銀行・保険会社の地域分割について
 石井啓一は、「先日参考人質疑を行った際に、加藤寛先生から、『郵貯、簡保を完全民営化するのは、これはいいことだ、ただし、地域分割をしなきゃいけない。その理由として、地域で集めたお金を地域に還元をする、そういう意味で地域分割が必要。』との意見があった。また、民間と競争条件をなるべく合わせるという意味で、郵便貯金銀行、郵便保険銀行はすごい巨額の資産規模を持つ。分割をして民間会社と競争できるようにしたらよいのではないかとの意見もあります。郵便貯金銀行、郵便保険会社の地域分割についてどうお考えか。」と見解を求めました。
 田中直毅・21世紀研究所理事長は、「現在の郵貯、簡保の残高を前提にすれば、巨大過ぎるから地域分割という議論が基本的にはあるんだろうと思います。しかし、私の見解では、たまたま郵便局に定額貯金として入っているものでも、これはのりづけされた非常に粘着性の強いお金というよりは、とりあえず棚として使っておられるという方が相当多いのではないかと思います。今郵便局にあるお金も、結局は、これは個々の国民にとりますと、国民にとっての資産ですから、どこの置くかは自分で決める、自分で決めるときに私は動き出すと思います。そのときに現在ほどの過大な残高ではなくなっているんじゃないか。そこを見据えた上で、次の郵便貯金銀行の経営者が、残高推移を見ながら、これはマネジメント上分割することの方が効率的だと考えられればそういう案が出てくると思いますが、その行く末を見据えた上でないと多分地域分割の議論は定着しないのではないか。」と見解を示しました。
 北城恪太郎・(社)経済同友会代表幹事は、「現在、全国をネットワークとしてサービスを提供するということで経営が成り立っておりますので、急にこれを分割するということは、現実のシステムの運用のあり方、あるいは資金の運用形態をとっても無理があると思います。まずは一体として民営化会社になって、その上で分割の必要があれば、その時点で判断をすればよろしいのではないか。」と見解を示しました。

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