経済教室NO.13不良債権・大手銀行が半減目標を達成

Q 05年3月期決算では、大手銀行7グループすべてが、不良債権比率を半減できたようだが。

A 7グループのうち、不良債権処理が比較的遅れていたUFJグループが前期の8.5%から05年3月期は4.12%に、三井住友銀行も5%から3.3%に低下し、全グループが02年3月期時点の不良債権比率の半減を達成しました。02年3月期に26兆8000億円あった大手銀行の不良債権残高も7兆4000億円まで減少しました。
 また、3月期の最終損益は、貸倒引当金の積み増しなど、多額の不良債権処理費用を計上したUFJが5545億円、三井住友が2342億円の赤字となったものの、他の5グループは不良債権処理損の減少などで黒字に。7グループ合計でも7300億円と4年ぶりに黒字に転換しました。
 06年3月期は不良債権処理費用がさらに3分の1程度まで縮小し、全グループが黒字に転換し、合計1兆9000億円の黒字が見込まれています。

Q 不良債権の存在は、日本の経済にどんな影響を与えてきたのか。

A そもそも不良債権の発端は、1980年代後半から90年代初めにかけてのバブル経済に時期に、土地や株式価格の高騰を背景に、これらを担保にして銀行が多額の融資を行ったことにあります。バブル崩壊とともに、こうした融資の多くが回収困難な不良債権化し、銀行の経営を大きく脅かすことになりました。
 とりわけ、97年から翌年にかけて大量の不良債権を抱えていた北海道拓殖銀行、日本長期信用銀行、日本債権信用銀行など、大手銀行が次々と経営破たんし、日本の金融システムに対する不安が膨らみました。破たんを免れた銀行も経営の圧迫が続き、融資に極めて慎重な姿勢を取るようになりました。特に中小企業に対する「貸し渋り」が横行し多くの企業倒産を招くなど、金融システムの機能不全が日本経済全体に大きな影を落としました。

Q 不良債権を解消するために、どのような対策がとられてきたのか。

A 不良債権処理については当初、銀行の自主的な取り組み、取引先企業との交渉などに任されていました。しかし、こうした対応では不良債権は減るどころか、逆に新たな不良債権が増える一方で経済再生の大きな足かせとなっていました。
 こうした中で、不良債権処理を加速すべきだとの公明党などの強い主張を受け、政府は02年10月に「金融済生プログラム」を策定し、04年度中に不良債権比率を半減させるとの目標を掲げました。
 同プランでは、@銀行の資産査定の厳格化A銀行の自己資本の充実B経営健全化のための早期是正措置の厳格化などガバナンス(企業統治)の強化―などの具体策を策定。これにより、銀行に貸倒れに備えた引当金の積み増しを促し、自己資本不足に陥った場合には、公的資金による「特別支援」を実施するとの方針を打ち出しました。
 政府はさらに、施策を実施していくタイムスケジュールとして「作業行程表」も作成し、着実、迅速な取り組みを図ってきました。
 今回、不良債権処理が目標通りに進んだのは、政府・与党の連携により、こうした強力な対策が着実に実施されたからであり、加えて、近年の景気回復、企業業績の向上も追い風となりました。

Q 不良債権処理を進めると、貸出先企業の倒産など、痛みを伴うのではと心配せれたが。


A 確かに、不良債権の処理を推進すれば、経営不振に陥っている企業の法的整理が行われたり、リストラや貸し渋りが増加するといった懸念がありました。
 公明党は、不良債権処理に伴う痛みを最小限にとどめるため、セーフティーネット(安全網)を整備することも強く主張。03年にスタートした「資金繰り円滑化借換保証制度」をはじめとする中小企業の資金繰り支援策や、雇用対策を中心に、きめ細かな施策を実施してきました。

Q 日本の金融システムは、これで完全に立ち直ったと言えるのか。

A 不良債権の処理は、大手銀行では終結段階を迎えましたが、地方の金融機関には、依然として多額の不良債権を抱えたままのところも少なくありません。地方の経済を最も身近で支えるこうした金融機関の再生は、地域経済の安定化、活性化のために不可欠であり、今後も実効性のある対応が求められます。
 また、大手銀行についても、これまでに8兆円もの巨額の公的資金が投入されており、その完済が当面の課題となります。
 さらに、大手銀行7グループ全体で最終損益が黒字になったとはいえ、銀行本来の業務である企業などへの資金の貸し付けは低迷が続き、業務純益は減少しています。これには、企業側の資金需要が弱いことや、貸出金利の低下などの要因がありますが、経営をより健全化し、金融機関としての機能を安定的に果たしていくために、収益力の改善に向けた銀行の真剣な取り組みが求められています。

              
公明新聞記事(H17. 6. 6)より転載