経済教室NO.12LLP(有限責任事業組合)

Q 海外では専門的な知識を持った人材や企業が連携し、LLPを活用して新事業を立ち上げる゛共同起業゛が盛んらしいが。

A そうですね。米国では、この10年間で株式会社が100万社誕生したのに匹敵する80万社が興りました。2000年に創設された英国では、3年間で1万社を超えるLLPが誕生。会計事務所やデザイン会社、ソフト会社などが活用しています。

Q いわゆる異業種交流の一種のようだが、LLPの特徴は。

A 大きく分けて3点あります。@LLPの出資者全員に出資額までしか責任を負わせない有限責任制を付与A才能やノウハウを持つ中小企業や個人を高く評価できるようにするため、貢献に応じた柔軟な損益の配分B民法組合と同様、LLP段階では課税せず、構成(組合)員に直接課税する―などがポイントです。

Q 既にある株式会社や民法組合では、これらの要素は賄いきれないのか。

A 部分的には重なる要素もありますが、いずれも三つの特徴をすべて備えた枠組みはありません。例えば、株式会社は、出資額の範囲内で責任を負う(=有限責任制)点では同じですが、損益や権限の配分は出資額の多寡で決まります。民法組合は、原則として出資者は全員無限責任を負わなければなりません。
 そこで、民法組合の特例として、出資者全員の有限責任制を定めた有限責任事業組合法を創設することになりました。法案は4月末の参院本会議で全会一致で可決、成立。今夏にも施行される見通しです。

Q LLPが整備されると、どのような事業展開が期待されるのか。


A ベンチャー企業や中小企業、大学などが、その技術力やノウハウを最大限に生かして、大企業と対等の立場で連携できる柔軟な組織の実現が可能になります。もちろん、中小企業やベンチャー企業同士が互いの知恵やノウハウを結集し、新たな研究・開発事業を興すこともできます。この枠組みを活用すれば、事業で得た利益について、たとえ出資額が少なくても多くの利益を得ることも可能な仕組みになっています。

Q 連携について、もう少しイメージがわくように説明してほしい。

A 中小企業同士の連携では、例えば実際にこうしたケースが検討されています。高い技術力と目利き能力をもった金型メーカーA社、3次元CAD(製図ソフト)を使い高度な設計のできる金型メーカーB社、プラスチックの材料技術に詳しい加工メーカーC社、多様な材料の成形加工技術をもつD社が、共同で高性能自動車部品を開発・製造するとします。
 各社は金型製作、成形加工について存分に専門的な能力を発揮。目利き能力をもつA社が開発の中核企業として事業全体をリードしつつ、大企業に提案型の事業展開の推進を計画しています。
 このほか、ベンチャー・中小企業と大企業の連携、IT(情報技術)と金融、農家と食品加工業の連携など、さまざまな組み合わせで新たな事業を興すことが可能です。

Q 新産業創出の起爆剤として期待される一方で、LLPについては衆参での国会審議で公明党議員が指摘したように、課税逃れなどに悪用される懸念が指摘されている。防止に向けた対策は講じられているのか。

A 確かに、政府側も「租税回避が一番心配される」と国会で答弁していますが、こうした事態を想定して、新法には悪用防止の規定が設けられています。その上で制度の信頼性を高めるためにも、悪用、乱用が行われない体制づくりが必要でしょう。
              
公明新聞記事(H17. 5. 30)より転載