経済教室NO.10高成長続ける中国経済

Q 中国経済の高成長ぶりが、世界の注目と関心を呼んでいるが。

A 近年のダイナミックな成長で、中国は「世界の市場」とか「世界の工場」とか言われ、評価されています。何しろ、国土面積は日本の約25倍、人口は約10倍の規模を誇る国ですから、中国経済がどうなるのか、高成長をこのまま続けられるのかは、世界中の関心の的でもあるわけです。
 中国国家統計局が先に発表した2005年1−3月期の国内総生産(GDP)の実質伸び率は、前年同期比で9.5%増となり、05年の「8%前後」という政府目標を上回りました。日本を含め欧米主要国が1−2%台の成長率で推移しているのに比較すると、極めて高い成長を続けていると言えます。

Q 高成長の持続に伴って世界との貿易量も増大しているようだが。

A 世界貿易機関(WTO)の世界貿易統計によると、04年の中国の輸出額は5934億j(約62兆円)で前年比35%の高い伸びを記録し、前年の4位から日本を抜いて3位に浮上しました<グラフ参照>。中国は01年12月にWTOに加盟してからわずか数年。輸入は前年の統計で3位になっていましたが、輸出入ともに大幅に伸びて、世界の貿易をけん引しています。

Q 貿易など日本とはどういう関係に。

A 大いに関係があります。もちろん日本からみた対中貿易額も増えています。財務省の04年貿易統計速報(通関ベース)によると、日本と中国本土との貿易総額(輸出入額)は6年連続で過去最高を更新しました。相手国内訳では、中国(香港含む)が最大の貿易パートナーとなっています。
 最近は、日系企業が中国に生産拠点を移転するケースも目立っており、パソコンやプリンター、DVDプレーヤー、携帯電話が増えています。安価で優れた労働力を誇る中国は、いまや日本企業の生産拠点として不可欠な存在になっています。

Q しかし、日本もそうだったように高成長はいつまでも続くものではない。中国経済の先行きを不安視する見方もあるようだが。


A アジア開発銀行の経済見通しでは今後、数年、8%台の経済成長率を想定しています<表参照>。日本・欧米主要国はもちろん、アジア諸国と比較しても、中国は最も高い成長率が見込まれています。
 ただし、安定成長のシナリオがいずれ狂うのでは、との心配は当然です。原油をはじめとした資源・エネルギーの制約、すでに深刻になりつつある環境問題などを指摘する専門家が多いのは確かです。それに外資依存や技術面での後進性は免れず、「世界の下請け化」を懸念する声もあります。
 一方で、高成長につきものなのが、バブルの崩壊です。中国の1−3月期の成長率はエコノミストの予測を大きく超えましたが、半面、構造的な景気過熱が浮き彫りになりました。固定資産投資は前年同期比22.8%増で、3月に限れば、都市部で前年同月比26%増、特に不動産開発は「バブル」傾向を強めており、中国政府がめざすソフトランディング(軟着陸)に向け、正念場を迎えています。バブル崩壊を招くことになれば、投資や消費が落ち込み景気のオーバーキル・急激な成長ダウンという悲観的シナリオが想定されてきます。
 また、国内では、増大する貧富の差、地方と都市の経済格差が、いずれ大きなアキレス腱になる、との指摘もあります。対外的には、人民元の切り上げ問題がつきまとっており、内憂外患の様相は深まっても軽くなることは考えにくい状況です。

Q 対外的にも、そうした懸念や課題が山積しているのでは。

A 米国では、対中国貿易赤字拡大をこれ以上放置できないと危機感を深めています。そのため、ブッシュ米大統領は「変動相場制になれば、米国は中国と自由で公正な貿易ができる」と表明するなど、人民元の早期レート切り上げを迫っています。特に、繊維製品や雑貨、家電などの輸入が急増、貿易赤字の約4分の1は対中赤字となっています。繊維製品では、欧州連合(EU)の欧州委員会も、緊急輸入制限(セイフガード)発動の検討に入っています。

Q 変動相場制への移行というと、日本のプラザ合意を思い出すが。

A 1985年のプラザ合意では、1j=220−250円だった円があっという間に110−120円に切り上がり、わが国は激しい円高ショックに襲われました。ただ、中国が人民元の切り上げで経済が失速すれば、対中輸出に依存している日本経済への影響も大きいものがあります。過熱する中国経済がソフトランディングに失敗した場合、IMF(国際通貨基金)は日本が最も影響を受ける、と予想しています。それだけに、日中関係の改善や友好交流とともに、日本の高いレベルの技術やさまざまなノウハウの提供・協力が求められています。
              
公明新聞記事(H17. 5. 9)より転載