経済教室NO.9経営の自由度広がる会社法

Q なぜ今、会社法案の制定が必要なのか。

A 1990年代から進む経済のグローバル化やバブル崩壊による企業業績の低迷など、国内外の激しい経済情勢の変化に対応した会社法制の整備が、日本企業の国際競争力を強化する上で不可欠となっているからです。
 これまでも、商法など企業に関する法律の改正は数回にわたって行われてきましたが、今回は、より利便性の高い制度とするため、商法や有限会社法、商法特例法など、複雑に分かれていた規定を一本化。一連の改正の集大成として、会社法制の体系的かつ抜本的な見直しを掲げています。

Q 従来の商法改正などと、どう違うのか。

A 最大のポイントは、企業への規制を最小限にとどめ、経営の自由度を拡大させることで、より機動的で柔軟な企業経営をめざしていることです。
 具体的にはまず、これまでの有限会社制度を廃止し、原則、株式会社に統合します。その上で、取締役会の権限を拡大し、企業の合併や、これまで株主総会での決議が必要だった株主への配当回数などで裁量権を増すなど、企業の実態に合った経営や組織再編を容易にしました。

Q ただ、株主の側からすれば、勝手気ままな経営に陥るのではないかという不安も残るが。

A そこで会社法では、「企業は株主のもの」とする米国流の理念を踏まえ、企業経営の透明性の確保や株主の権利保護、チェック体制の強化も図っています。
 場当たり的な経営に陥るのを防ぐため、株主総会での取締役の解任条件を緩和し、経営に緊張感を持たせています。併せて、経営者の責任を追及する株主代表訴訟制度を改善。訴訟中に原告が株式を持つ企業が合併などでなくなった場合でも、裁判を起こせる権利などを明記しました。
 また、中小企業を対象に、税理士や公認会計士が取締役と共同して計算書類を作成、別途保管する「会計参与制度」を導入し、透明性の高い企業会計で中小企業の信用力の向上を支援します。

Q そのほか、経営者に、どのようなメリットがあるのか。


A 会社設立への高い意欲や技術があるものの、資金不足に悩む起業家への支援が大きく拡充されています。その柱の一つが最低資本金制度(起業の際、株式会社で1000万円以上、有限会社で300万円以上の資本金が必要)を撤廃したことです。
 政府は2003年2月、創業、起業を後押しし、経済の活性化を図る観点から、5年間の時限的措置として、「最低資本金規制特例制度」を創設しました。
 公明党の積極的な推進などを踏まえたもので、1円でも起業ができるようになり、制度実施後2年間で申請数は2万7861件に上っています。そのうち実際に2万2251社の企業が設立され、1円での起業も1000社を上回るほどになりました(05年4月時点)。
 今回、最低資本金の撤廃が恒久化されることで、多様なベンチャー企業の輩出による経済の活性化が期待できるとともに、リストラや倒産による失業者や定年退職者が再挑戦しやすい環境の整備が一層進むことになります。
 また、出資者が出資の範囲でしか責任を負わない一方、出資比率に関係なく利益の分配率を設定できる合同会社を新しく導入します。これにより、高度な技術やアイデアをもつ大学の事業参加の意欲が高まり、新産業の゛呼び水"となる効果が見込まれています。

Q 外国企業による敵対的買収をめぐる規制のあり方が問題となっていたが。

A M&A(合併と企業買収)を通じた収益の向上や経営体質の改善を訴える経済界の強い要望を受け、会社法案では外資によるM&Aに関する規制を緩和する方向で議論が行われていました。
 しかし、ライブドアによるニッポン放送株の大量取得の問題を契機に、外資による敵対的買収に関する懸念が増加。「買収防衛策の準備期間が必要」として、合併対価に外国株式などを認める規定は会社法施行より1年遅らせる措置が取られました。

Q 公明党の具体的な取り組みは。

A 公明党は、昨年10月、党内に「会社法制に関するプロジェクトチーム」(谷口隆義座長=衆院議員)を設置し、翌月には、「会社法制の現代化に関する提言」を法制審議会(法相の諮問機関)に提出。中小企業にとって使いやすく、大企業にとっては組織再編が機動的に実施できる制度の構築を求める一方で、組織再編に対して株主や債権者がしっかり保護されるよう求めるなど、法整備を強力に後押ししてきました。
              
公明新聞記事(H17. 5. 2)より転載