経済教室NO.7日本経済・今年の総括と展望

Q 今年の日本経済の動きを概括すると。

A 特筆すべきことは、1990年代のバブル崩壊以降、日本経済の足かせとなってきた銀行の不良債権処理にメドが立ち、金融再生の出口が見え始めたことです。
 大手銀行7グループの貸出金全体に占める不良債権の比率は今年9月末で4.7%となり、2002年3月末(8.4%)から来年3月末までに半減させる政府目標をほぼ達成しました。7グループの不良債権残高も約27兆円から約12兆円と半分以下に低下しています。

Q その原因は。

A 政府目標の達成については、「景気の回復が追い風となった。経営破綻に陥る融資先が減り、改善に向う企業が増えたため、不良債権の残高が大幅に減少した」(読売新聞「社説」)と指摘されています。
 その背景には、公明党の連立政権参加によって政治が安定したことにより、適切な経済政策を切れ目なく実施できたことが挙げられます。具体的には、中小企業への資金繰り円滑化対策や、産業再生機構などを通じた企業と金融の一体再生の取り組みなどです。
 そうした政策効果が着実に浸透し、帝国データバンクの発表では、企業倒産は23ヵ月連続で前年水準を下回っています。同社は、今年年間の倒産件数が10年ぶりに1万4000件割れになると予想しており、「倒産の沈静化は当分続く」と見ています。

Q 経済再生に向けた動きが進みつつあるということか。

A 内閣府が示した経済財政政策
の中期的な指針となる「改革と展望」の改定原案では、経済情勢について「長期的停滞から民間需要中心の成長に移行した」と分析しています。
 02年1月を「谷」とする今回の景気拡大期は、世界経済の好調さを背景に増加した輸出がけん引役となり、生産や設備投資の増加を促す好循環が続いています。
 事実、財務省が発表した今年7―9月期の「法人企業統計」によると、全産業の設備投資が前年同期比14.4%増と6.4半期連続のプラスで、企業の投資活動が引き続き活発なことを裏付けています。
 製造業は、半導体の製造装置や飲料関連が好調で14.8%増となっています。薄型テレビなどデジタル家電ブームも設備投資の拡大につながっているようです。非製造業も14.2%増と4期連続のプラス。情報通信・運輸業や卸売・小売業が20%近く伸びています。

Q 足元の景気は心配されるが。

A 確かに、日本銀行による12月の企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の業況判断指数(DI)が1年9ヵ月ぶりに悪化するなど、最近は景気減速を示す経済指標が出されています。ただ、日銀の政策委員会・金融政策決定会合では、「足元の減速は一時的で、回復の流れは続いている」との判断に立っています。
 今年7―9月期の国内総生産(GDP)改定値によると、今回から物価変動の影響を除いた実質GDPの算出方式を物価の実態をより正しく反映させる方法に見直したため、物価下落によるかさ上げ効果がなくなって実質マイナス成長に転じるとの懸念も出ていましたが、結果的には実質プラス成長を確保しました。竹中平蔵経済財政担当相は「景気は上り坂の中の微調整」との認識を示しています。
 主な民間調査機関は、足元の景気は見解が分かれるものの、今後の動向については深刻な調整・後退局面には至らず、05年度後半からは世界経済の回復に伴う輸出増加で生産や設備投資が盛り上がり、再び回復に向けた動きが強まるとの見方が大勢を占めています。
 一方で、原油高の長期化による米国の消費抑制、円高基調など輸出産業を取り巻く環境は予断を許さず、注意深く見ていくことが求められています。

Q デフレの状況はどうか。

A 経済協力開発機構(OECD)が公表している「エコノミック・アウトルック」では、日本経済について、景気は輸出の減速で緩やかになるものの、企業の収益力回復を背景に「設備投資が拡大を下支えする」とし、05年の実質成長率を2.1%増となる見通しを示しています。
 その上で、「デフレは2005年末に収束」との予測を明らかにしています。消費者物価は04年で前年比マイナス0.1%となった後、05年に同0.1%プラス転換、06年には同0.6%上昇と見込んでいます。
 政府経済見通しでも、05年度は消費者物価は前年度比0.1%の上昇とし、7年ぶりのプラスを予想しており、「デフレからの脱却に向けた進展が見込まれる」としています。
 ただ、デフレ克服に向けては需要の拡大が不可欠であり、景気動向を慎重に見極めながら、政府と日銀が一体となった政策努力を強化する必要性が指摘されています。
              
公明新聞記事(H16. 12. 27)より転載