経済教室NO.5注目されるベンチャー支援策

新創業融資制度
順調な実績踏まえ 限度額を750万円に
Q ベンチャー企業が注目される背景は。

A 産業構造が転換する時には、最先端の分野で新しいビジネスが生まれ、市場が形成されていきます。そうした時代のニーズ(要望)を背景に、独自の製品やサービス、技術を開発・提供して需要を生み出し、急成長していく企業がベンチャー企業です。創業が新しく、小規模な企業を指す場合が一般的です。米国ではスモールビジネスと呼ばれ、コンピューター、情報、バイオテクノロジー(生命工学)など新産業の発展をもたらし、1990年代以降の経済成長を支えてきました。

Q 日本の現状はどうか。

A 開業率は1999−2001年平均で3.1%であり、米国の14%台と比べると極めて低い状況です。しかも、米国とは逆に、開業率より廃業率(4.5%)の方が上回っています。

Q 原因は。

A 最大の課題は資金調達が困難なことです。
創業間もない企業は信用力が弱く、不動産などの物的担保にも乏しいとして、金融機関からの融資が受けにくい状況にあるからです。このため、設備投資や研究開発を行う資金繰りのメドが立たず、ビジネスチャンスを逃すケースが少なくありません。
 公明党はベンチャー企業に対する資金調達を円滑にするため、不動産担保を重視する従来の融資姿勢から脱却する金融支援策を提言し、具体化しています。

Q どういうものか。

A ビジネスプラン(事業計画)の中身が的確であれば、無担保・無保証人(法人代表者の保証も不要)で事業資金を融資する「新創業融資制度」です。国民生活金融公庫などが02年1月から本格的に実施しているもので、4月からは、貸付限度額を750万円(従来は550万円)に引き上げました。
 公明党の提言を受けて、昨年2月からは女性や高齢者、IT(情報技術)を活用した開業者には金利を低くする対策も講じられ、利用件数は昨年12月までの2年間で8285件に上り、順調に実績を伸ばしています。

最低資本金特例
1円起業 11000社を突破

Q 会社を起こす際には、資本金を準備する必要があるよね。

A 確かに、取引先などの債権者を保護する目的で、現在は最低資本金規制(株式会社は1000万円、有限会社は300万円)が設けられています。しかし、すぐに資金を集めることは容易ではなく、起業の障害になっているとの指摘は強くあります。そこで公明党などの推進により、昨年2月に施行された中小企業挑戦支援法の下で、資本金1円でも会社を設立できる特例、いわゆる「1円起業制度」が導入されました。設立後5年以内に最低資本金を整えることが必要ですが、たとえ1円でも会社を起こせることから、大きな反響を呼んでいます。


Q 具体的には。

A 利用実績は既に1万1541社に上り、このうち、文字道りの資本金1円の会社は495社に及んでいます【グラフ参照】。
 法務省の法務統計月報の集計では、昨年1年間に新規登録された法人(株式会社及び有限会社の登記数)は9万3012社に上っています。対前年比で8400社、約1割の増加となっており、「起業家社会」に弾みを付けています。

Q 最低資本金規制自体についての論議はどうか。

A 法相の諮問機関である法制審議会の会社法部会は、資本金を300万円以下に引き下げるなどを柱とした「会社法制の現代化に関する要綱試案」を提示しています。
 公明党の木庭健太郎氏は3月16日の参院法務委員会で最低資本金の引き下げや撤廃など起業促進の方向を見据えた思い切った会社法制の改正を主張しています。

エンジェル税制
投資促進へ大幅拡充 年6000人の利用見込む

Q ベンチャー企業に直接投資する場合の支援策は。

A ベンチャー企業に資金提供する個人投資家をエンジェルと呼び、投資を促進するための優遇税制をエンジェル税制と言います。
 日本では97年に導入され、00年に拡充されています。内容は、企業の株式を取得した個人投資家がその株式を譲渡(売却)することによって、利益が生じた場合にはその利益を圧縮でき、損失が生じた場合にはその損失を繰り越しできる課税の特例制度です。

Q 利用状況は。

A いずれも、投資の結果に対する税制措置であることから、投資意欲を引き出す効果が小さいとの指摘は強く、限られた利用実績にとどまっていました。
 そこで、公明党などの主張によって03年度税制改正で、投資額を他の株式譲渡益から差し引く特別控除制度が導入されました。つまり、企業に投資を行った時点で、税制上の恩恵が受けられるようにしたのがポイントです。その結果、03年度の利用は748件に上り、大幅に増加しました。
 さらに、04年度税制改正では、対象企業の適用要件や手続きを大幅に緩和しました。これによって、経済産業省では、投資家は例年の100倍に上る年約6000人に拡大すると見込んでいます【図参照】。

              
公明新聞記事(H16. 5. 3)より転載