経済教室NO.2多様化する中小企業金融

 
個人保証免除の新融資制度
Q
中小企業が新事業に取り組もうとしてても、資金調達が大きな課題になっているね。

A 現状では、中小企業が金融期間から融資を受ける場合、大半は担保となる不動産などの物的資産が不足していることを理由に、経営者などに個人保証を求められているのが実情です。
 実際、2003年版中小企業白書によると、中小企業のメーンバンク(主取引銀行)からの資金借り入れでは、81.0%で個人保証が要求されています【グラフ参照】。
 倒産などで会社が借金を返せなくなると、保証人となった経営者は私財を処分してでも返済する義務を負います。中小企業研究所の実態調査(02年)では、倒産企業経営者の43.4%が借金を整理するために個人破産を余儀なくされています。

Q破産するとどうなるのか。。

A 一度破産宣告を受けると、二度と銀行融資が受けられなくなり、廃業に追い込まれるケースがほとんどです。過度の個人保証が事業展開の足かせになっていると指摘されている理由です。

Q 確かに、企業経営のリスク(危険性)が高くなるね。

A 公明党は、中小企業が再挑戦しやすい環境を整備するため、金融機関が経営者に個人保証を求めない融資の検討を提言。まず政府系金融機関から突破口を開くよう主張してきました。
 これを受けて、中小企業による新事業への挑戦を支援するため、政府系金融機関が中小向け融資で、個人保証を必要としない制度を初めて本格的に導入します。

Q 具体的には。

A 中小企業金融公庫と商工組合中央金庫が実施を担い、将来性のある新事業を展開する経営者の個人保証を免除して事業資金を融資します。ただ、融資が回収できなくなる可能性もあるため、事業内容を精査し、融資を受ける企業には財務悪化を未然に防ぐ契約「財務制限条項」を結ぶよう求める方針です。

 
無担保・無保証の新創業融資
Q もともと不動産などの担保に乏しい新規開業者への融資はどうか。

A 国民生活金融公庫が2002年1月から本格実施している「新創業融資制度」について、貸付限度額が750万円(現行の550万円)に引き上げられます。

Q 新創業融資制度とは。

A 開業支援を目的に、事業資金を無担保・無保証人(法人代表者の保証も不要)で融資する制度です。公明党などの推進を踏まえ、01年度第1次補正予算で創設されたもので、物的担保ではなく、ビジネスプラン(事業計画)の中身を重視して融資する手法として注目されています。
 対象は、@雇用創出を伴う事業A技術やサービスなどに工夫を加え、多様なニーズに対応する事業―を実施する創業者です。
 国民公庫が事業計画を審査した上で、将来性があると判断した場合に、開業資金総額の半分以上が自己資金であることを条件に融資が行われます。貸付期間は運転資金が5年以内、設備資金が7年以内で、貸付金利は基準金利プラス1.0%です。

Q 利用状況はどうか。

A 公明党の提言を受けて、昨年2月からは女性や中高年者、IT(情報技術)を活用した新規開業者に対して貸付金利を低くする優遇制度も実施されています。利用件数は制度創設から昨年12月末までの2年間で8285件に上っています。
 今回の拡充によって、開業率が廃業率を下回っている現状を打開、起業を後押しする効果が見込まれます。また、民間の金融業界にも、計画段階や創業間もない企業を正当に評価し、将来性を見抜く審査能力、すなわち、「目利き」を重視する融資姿勢に転換する呼び水としての役割が期待されます。

Q 企業金融の改革が迫られているね。

A 不動産担保に依存しない試みの一つとして、日本政策投資銀行は民間金融機関と協調し、商品在庫などの動産の価値を評価して担保とする仕組みを創設します。さらに、担保にこだわらず、企業が一定水準の収益を確保するなどの財務状況を融資条件に継続的に反映する制度も導入します。

Q 民間金融機関は、ベンチャー向け融資には慎重ではないのか。

A 銀行などは特に、創業期で不動産などの担保に乏しいベンチャーへの無担保融資には消極的で、起業の減少や倒産の増加を招く一因ともなっています。
 そこで、中小公庫は民間の中小向け貸出債権を買い取り、証券化する支援事業に乗り出します。無担保の貸出債権を証券化し、リスクを肩代わりする一方、証券化した商品を機関投資家に売却するものです。対象は民間金融機関の債権だけでなく、信託会社や事業会社まで広げる方針です。
 政府系金融機関が銀行などの貸出債権を証券化するのは初めてで、民間金融機関のベンチャー向け無担保融資を拡大する狙いがあります。

Q 銀行界の状況は。

A 最近では、無担保ローンの扱いが増えつつあるほか、経営者の個人保証を求めない中小企業融資を行う動きが出始めています。今回の政策金融の展開が、民間金融の意識改革を促す足掛かりとなることが求められます。
                                 
公明新聞記事(H16. 1. 26)より転載